メンタルトレーニング
《セルフトーク》
セルフトークとは、自分自身に対する会話とか考え方(問いかけ)をすることです。たとえば、「よし」「まだまだ」「いくぞー」などの声や言葉を使うことは、自分への激励、気持ちの切り替え、自信を持つなどの効果があります。同時に「元気だしていこー」「気持を切り替えていこー」「気合入れていこー」などは、チームメイトに対してのメッセージであると同時に自分自身に対するメッセージにもなります。自分が何をしたいのか、何をするべきなのかを「声」や「言葉」さらに「考え(問いかけ)」を確認したり、方向づけしたり、また自分に暗示をかけることをしています。このセルフトークという心理的スキルを毎日の練習や日常生活で「トレーニング」し、試合で使えるようにして、試合でのセルフコントロールをし、それが実力発揮につながり、試合で勝つ可能性を高めるというものです。
メンタルトレーニングの基本は、このようにセルフトークを自分のスキルとして身につけ、本番で活用することです。試合のときだけ使い効果をあげる魔法のテクニックではありません。技術や体力トレーニングと同様に「メンタル面」(精神力)もトレーニングして身につけ、試合で活用するという考え方を理解してください。基本的に、選手本人がやることです。
コーチや観客が何を言おうと、それが役に立つ事は少ないと思います。逆に、プレッシャーとなり、足を引っ張る事が多いのも事実です。なぜなら、他人からの「言葉」や「声援」をプラスに取るか(プラス思考)マイナスにとるか(マイナス思考)は、選手本人が「選択」するからです。この選択の仕方を、プラスの方向にするためのトレーニングをすることが、プラス思考のトレーニングです。ここをおさえておかなければ、観客やコーチがいくらいいアドバイスや声援をしても、効果がないどころかマイナスになることになるからです。選手本人がメンタルトレーニングをしていなければ、効果が期待できないのはこのような観点からです。
しかし、親御さんや観衆が声援するなら、ポジティブ(プラス)の声援の方が選手のやる気を高める事は間違いないと思います。たとえば、「ナイスショット」「ナイスコース」「ラッキー」という声援をされた子どもと「コラー、何やっとるんやー」「どこ打つんやー」「ネット掛けるなー」「いらんことすんなー」などという声をかけられた子どもでは、どんな考え、行動、そしてプレーがみられると思いますか?のびのびとプレーをして、自分にチャレンジをする子どもとコーチや観客の顔や声援を気にしながらプレーする子どもでは、どちらがいい結果につながるかお分かりだと思います。もっと具体的にいえば、「さがるな」ではなく「前に出よう」、「どこ打つんやー・何やっとんじゃー・いらんことすんなー」ではなく「ナイスチャレンジ・次、次、気持を切り替えよー・今のミスは次につながるよー」などです。ちなみに私はダブルスのペアがミスしたときは「どんまい、まいどん?」などと声をかけます。(思わず笑ってしまい、緊張が無くなります)
メンタルトレーニングは、世界的に「怒らない・悪い言葉を使わない・命令しない」という3大原則があります。この3つを使うと、選手は伸びないと言われています。長年日本の指導者は厳しくすることが良いことだと思われていました。(ある意味ではそうかもしれません)が、今では「ほめる」指導が選手の内在的なやる気を高め、よりよい上達を促がすといわれています。一流になれる選手のほとんどが内在的に動機づけられた人だということは理論的に証明されています。つまり、怒られるからやる、罰がいやだからやる、何かもらえるからやるなどの外在的に動機づけられた人は、外在的な報酬や罰がなくなるとやる気をなくすことから。バドミントンが好き・楽しい・面白い・自分がうまくなるのがうれしいなどの内在的なやる気を持たせるコーチや親の指導(教育)が必要になります。そこには、選手の結果ではなく努力のプロセスをほめるなどして、選手が努力するチャレンジする喜びを高めさせる事が必要になります。